トリツカレ男／いしいしんじ／ビリケン出版

「そのいち。氷の上の私たちは、いつかきっと転ぶ」

いしいしんじは「おはなし」を書くのが上手いと思う。
物語から、作者の意志とか意図とかが透けて見えなくて、シュールで無国籍な世界観で、そういう所が好きだーと思います。

トリツカレ男、ジュゼッペは、いろんなものにとりつかれる。
オペラ、三段跳び、探偵、サングラス、昆虫……。
そんな彼が次にとりつかれたのは、風船売りの少女。

平たく言えば恋愛ものなのですが、やはり「おはなし」と言った方が近い気がします。
ちょっとシュールですが、ホラーではないです（タイトルを見た友人に「怖そうな本読んでるなー」と言われたので、念のため）。