♀/学生
趣味:読むこと、観ること、聴くこと、書くこと、作ること、等。
ほとんどが下手の横好き。
気になるけど手を出せていないもの:
鉱石、ドール(PFが欲しくてたまらない)、豆本、演劇鑑賞、もうちょい本格的な手芸、等。
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アンソロジー「I LOVE YOU」(祥伝社)に収録されていた「突き抜けろ」の前後を含んだお話。
タイトルや表紙からも判るとおり、恋愛ものです。
(表紙は赤くて、目にハートの入った女の子のイラストがバーンとあって、かなり可愛い感じです。きっと男の子は手に取りにくいことでしょう)
恋愛ものって好んで読むことはあまりないのですが、中村航作品が好きなので読みましたよ。
やっぱりこの作風好きです。
作風というか……、世界の見方というか。
読んだら世界がワントーン明るく見えるような、そんな気がするのです。
とにかく可愛いしね!
私の周りに中村航を知る人がいないのは惜しい。
ああもう、「中村航 土!同盟」とか立ち上げたい気分です。
ところで。
「突き抜けろ」を既に読んでいたこともあり、私の記憶は多少というかかなり混乱しているのですが、この話……もしかしてひょっとすると、「100回泣くこと」(小学館)と繋がってたりします?
そんなことない?
何だか読んでるときに、記憶にひっかかりを感じたような気がするんですが……。
うーん、私の記憶はあてにならないからなー……。
銃とチョコレート/乙一/講談社ミステリーランド
黒猫が海賊船に乗るまでの話/古市卓也/理論社
100回泣くこと/中村航/小学館
あめふらし/長野まゆみ/文藝春秋
箪笥のなか/長野まゆみ/講談社
麦ふみクーツェ/いしいしんじ/理論社
終末のフール/伊坂幸太郎/集英社
ドリームバスター3/宮部みゆき/徳間書店
少し変わった子あります/森博嗣/文藝春秋
計9冊。
以下、かいつまんで簡易感想。
「銃とチョコレート」
→乙一ってこんなのも書くのか、と思った。うん……でもあんまり好きじゃない。
人物名がカタカナなので、読み慣れてない人にはキツいかと。(チョコレートの名前なので覚えやすいけど)
乙一作品は、もっと最初から奇抜な設定なのが好きだなー。
「黒猫が~」
→いいお話でした。人形って好きだー。
「あめふらし」
→独特の世界観。長野まゆみの文体に慣れてないとキツいと思う。女性向け。
「箪笥のなか」
→世界観が「あめふらし」とちょっとかぶってる。けど女性向け要素はなし。こういう雰囲気、好きだー。
これも長野まゆみの文体に慣れてないとキツいとは思う。
「ドリームバスター3」
→私の好きキャラの登場がゼロと紙一重で残念。だけどストーリィは面白くなってきましたよ。
だけど、そろそろあの子のこともちゃんと出してあげて……!
「少し変わった子あります」
→ストーリィとして「おもしれー!」っていうのはないですが、この静けさとか時間の流れ方とかが好き。
「さらに少し変わった子あります」が特に好き。
「実はどうなのか、ということは、私には無関係なんですよ」
(「さらに少し変わった子あります」より抜粋)
+++
最近、色々映画も観ました。
忘れないように近々リストアップしよう……!
ほう、と溜め息をつきたくなるような、そんな読後感。
大きなびっくり展開はなく、エンターテイメント性は薄いけれど、独特な設定とユーモラスでひねりの効いた文章が飽きさせない。
読み始めは、「何だか薄っぺらいような気がするなー(書き方というか世界観というか、本の雰囲気みたいなものが)」とか正直ちょっと思ってしまったのですが、そんなことなかったです。
いや、ライトなのはライトなのですが、中身はちゃんとある、という感じでした。
伊坂幸太郎は「伝えたいことがあって書く」のではなく、「面白そうだから、書いてみたいから書く」というスタンスなんだろうなーと私は勝手に思っているのですが(そして私はその方が好ましく感じるのですが)、それでいて読んでいると「うんうん」と納得させられることがよくあります。伊坂作品、恐るべし。
今回は苗場さんの、どれくらい生きるつもり云々に、「そうそう、そこなんだよなー」と思ってしまったのでした。
各短編のタイトル、統一してあって面白いですね。
(「太陽のシール」「籠城のビール」という風に)
こういう遊び心、私好きだなー。
そうそう、今回も他の本とリンクしてるところを発見できませんでした。
というか、リンクしているのでしょうか……。
後書き(?)にあった、別の話のときにボクシングジムに行ったというのは、おそらく「砂漠」(実業之日本社)のことだろうなー。
余談ですが、「演劇のオール」に出てきたトランプのゲーム、ダウト。
私の通ってた小学校では「ざぶとん」という名前でした。(ダウトという名称があることは中学に上がって初めて知りました)
NZへ行ったことがあるのですが、そこでは「liar(嘘つき)」と呼ばれてました。
私の知ってるルールは一回に出すカードは一枚と決まっていましたが、「liar」では例えば「two threes(3が2枚)」と言って2枚カードを出すことも可能でした。
トランプってどこまでが世界共通なんだろう、とちょっと不思議に思ったり。
誰よりも背が高く、教室ではいつだって一番後ろの「ぼく」。
吹奏楽の王様の「おじいちゃん」。
数学に取り憑かれた「父さん」。
麦ふみを続ける「クーツェ」。
うーん、これは何の話なんだろう……。
音楽の話、というよりは、音の話、という感じです。
世界に溢れる色んな音の話。
シュールです。不思議でシュールな世界。
他の本と比べてあーだこーだと言うのは本当は良くない気がしますが、敢えて「ぶらんこ乗り」(新潮文庫)と比べるなら、「ぶらんこ乗り」に漂う、しん、としたもの悲しさが、シュールさと麦ふみのリズムに変わっている、というような。
上手く表現できませんが、「ぶらんこ乗り」もシュールなところがあったけど、「麦ふみクーツェ」はそれが何トーンも濃くなってる、ような気がします。
で、後ろにずっと流れてる悲しさの種類も違う。
うん、何て言うか、「濃い」んです。
だから人により好き嫌いは分かれるだろうなーと思います。
「ぶらんこ乗り」とどちらが好きかも、人によりけりだろうなー。
私は「ぶらんこ乗り」の方が好きかな、と思います。
でも「麦ふみクーツェ」も好きです。(どっちだよ)
どっちも好き、というか、どっちも種類が違うので、「どっち」っていう問題じゃないような気もします。
クーツェの言葉を借りるなら、「距離のもんだい」なんだと思います。
そんな気がしてきました。
「ぶらんこ乗り」では「弟」の書く「おはなし」がとても良かったですが、「麦ふみクーツェ」では色んな記事を切り抜いて貼り付けた「スクラップ」や、色んな人の色んな話がその「おはなし」の役割を果たしています。
いしいしんじは「おはなし」を作るのが凄く上手いんだなーと思います。
余談ですが、「麦ふみクーツェ」を読んでいると、伊坂幸太郎著「オーデュボンの祈り」(新潮文庫)を思い出しました。
何だか似てるような気がします。似てないような気もするけど。
たぶん、それも「距離のもんだい」。(←どうやら私は相当この表現が気に入ったようです)
(恋愛小説を読むこと自体がごくまれなのですが)
大筋としては恋愛小説の定番のストーリー。
しかし中村航独特の優しくてちょっととぼけたような文体と世界観、またオリジナルなサイドストーリーにサイドキャラクター、そしてちょっとした哲学的エッセンスが、もう絶妙なスパイスというかむしろメインディッシュになっている、と私は思いました。
彼の文体は馴染めない人もいるかもしれませんが、私は大好きです。土!
(「土!」の意味を知りたい方は「夏休み」(河出文庫)を読みましょう)
中村航はいつか芥川賞取るんじゃないかなーと思います。
今までに候補に上がったこともあったみたいですしね……!
私が今最も好きな作家さんの一人なので、ぜひ受賞して欲しいです。